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2023年10月30日 (月)

魔女は眠らない、聖女は眠れない(37)~~~~~~~~~ 「戦艦『大和』反転の真相」深井俊之助氏(その3)

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Amazon 戦艦「大和」反転の真相

8月の記事のつづきです)

ガザ地区で、イスラエルが戦争を始めてしまいました。

イスラエルは、イランと開戦するかも、と思っていましたが、

いずれにせよ、大規模な戦争になりそうです。

しかも、ウクライナ戦争と同じく、全く先が見えません。

“こんな時に、「レイテ沖海戦」どころか”

と自分でも思ってはいるのです。

人間はこのような蛮行・愚行をいつまで続けるのでしょうか…

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

レイテ沖海戦の作戦目的は、

フィリピンの日本軍基地を守り抜くこと。

作戦名は「捷(しょう)一号作戦」と呼ばれていました。

「一号」と言うからには、「二号」以下も有りまして、

連合軍が攻め込んでくる日本の地域によって、

「四号」までが想定されていたとのこと。

これは、本書によって初めて知りました。

 

ちなみに【捷】という漢字は、「敏捷」の「捷」で、

「早い」という意味の他に、

同じ音読みの【勝】と同じく、「勝つ」という意味があります。

 

さて大本営は海軍の総力を結集して、

本作戦に投入します。

と言いましても、1944年といえば戦争末期、

艦艇数も、航空機の数もかなり少なくなっていました。

4つの艦隊が編成されまして、

内訳は、本書によれば、

 

栗田艦隊 32

西村艦隊 7

志摩艦隊 7

小澤艦隊 17

 

小澤艦隊は空母4隻を擁し、

空母に搭載された航空機は108機。

他に、フィリピン基地の航空機が150-200機。

 

艦艇数に関しては、若干の異説もあるようですが、

いずれにせよ、当時の海軍の残存戦力を、

全てかき集めたものです。

1941年の開戦時の威容と比べると、なんとも寂しい兵力なのですね。

 

米軍側の兵力については、深井氏の記述はありません。

他の本(注1)を見ますと、

「戦艦12、空母35,巡洋艦26、駆逐艦141」とありました。

214隻、単純な数量比較で日本軍の3倍強。

航空兵力も、やはり少なくとも約3倍は有していたはず。

 

但し、このような数字の列挙のその前に………

あのレイテ沖海戦の時点で、

日本の制空権はほぼ皆無でしたし、

即ちそのことは、米潜水艦の自由な活動を保障しますから、

制海権も、米軍が圧倒していました。

(現実に、栗田艦隊は出撃直後に潜水艦の攻撃を受け、

旗艦を含めた重巡洋艦3隻を失っています)

 

制空権・制海権共に奪われていた状態で、

戦力も圧倒的に米軍側が優勢。

この現実を最初に、認識しておく必要があります。

 

 

さて、“カギ”は、4隻の空母を擁した小澤艦隊です。

実は、この艦隊の任務は“おとり”でした。

自身を犠牲にして、レイテ島付近から米空母部隊をおびき出し、

栗田・西村・志摩艦隊のレイテ湾への進入を成功せしめる、

という計画なのです。

ただし、「空母4隻」といっても、

正規空母は1隻のみ、あとは改造空母。

御存じのように、1942年のミッドウェー海戦において、

日本海軍は正規空母4隻を一度に失っていました。

 

“おとり”を使ってレイテ湾を急襲する、とは

なんとも情けない窮余の一策----

いや、「作戦」とも呼べない無謀なものですが、

そこまで大本営は追い詰められていた、ということです。

 

ところで現実には、米軍はこの“おとり”作戦に引っ掛かってしまいます。

 

さァ、主力の栗田艦隊が突入する番・・・と思いきや、

艦隊はレイテ湾へ向かわずに、違う方向に進んでいきます。

これが世にいう、「栗田ターン」「栗田艦隊 謎の反転」なのでした。

                                    (つづく)

 

(注1)「日本の戦争解剖図鑑」(2016年:(株)エクスナレッジ刊)より

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