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2023年8月31日 (木)

魔女は眠らない、聖女は眠れない(36)~~~~~~~~~ 「戦艦『大和』反転の真相」深井俊之助氏(その2)

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Amazon 戦艦「大和」反転の真相

(前回よりのつづきです)

 

前の記事の写真では、ちょっと大きめにしてみたのですが、

それでも「大和」の両舷の副砲は見えにくかったですね。

 

著者の深井俊之助氏は、もともと第一高等学校への

進学が第一志望だったとのことです。

第一高等学校というと、東京帝国大学の予科に相当しますから、

元来、氏は“学問肌”だったのかもしれません。

しかし、人間の運命とはわからぬもので、軽い気持ちで受験した

海軍兵学校(こちらも“狭き門”だったそうです)

の入試に合格してしまいます。

 

最終試験の面接試験官が伊藤整一中佐でした。

 

卒業後、氏は駆逐艦、軽巡洋艦、巡洋戦艦(=高速戦艦)の

各艦の乗務を経て、

1944年3月に、戦艦「大和」の副砲長としての着任を命じられます。

 

本書の前半は、深井氏が「大和」へ乗艦するまでの経緯が書かれています。

レイテ沖海戦の勃発は同年10月のことですから、

いよいよこの本の眼目、いわゆる「栗田ターン」、

すなわち「栗田艦隊謎の反転」の真相が書かれているのですが、

もうひとつ、深井氏が戦後初めて明らかにされた事件がありました。

 

この事件と、「栗田艦隊謎の反転」に共通するキーワードが

「命令違反?」です。

 

開戦以来、連戦連勝を続けてきた日本軍は、

ミッドウェー海戦(19426月)で大敗北を喫します。

そして同年8月、ガダルカナル島攻防戦が始まります。

(翌年2月まで続きました)

 

7月初めより、ガダルカナル島(以下、「ガ島」)の設営隊員2700名が、

マラリアと赤痢に悩まされつつ、

ジャングルを切り開いて滑走路を完成させました。

深井氏は時系列に従って記述されています。

 

*************************

8/4 ガ島設営部よりラバウル司令部へ、

   「滑走路完成 諸般の事情から考え、すみやかに

   戦闘機の進出を必要と認む」との電報を、深井氏が傍受。

(当時、氏は付近で駆逐艦「初雪」にて作戦任務にあたっていた)

8/5 ラバウル司令部は、零戦12機をガ島に進出せしめる。

8/6 零戦隊々長(深井氏は、あえて実名を記されていません)は、

「現在の居住施設はあまりに粗悪、隊は任務を全うすることは困難、

施設が完備するまでラバウルにて待機する」との電報を発信、

   同日、ラバウルへ帰投。

8/7 早暁、ツラギ島(ガ島の北側)、米軍の砲撃・上陸を受け全滅、

    610ツラギ守備隊、最後の電報を発信。

    「われ最後の一兵まで死守す、武運長久を祈る」

*************************

 

これが長きに亙る、ガダルカナル島攻防戦の始まりでした。

当然、著者はこの事件について憤慨されています。

*************************

「寝場所がよくない」というだけで

900km後方のラバウルに引き揚げたことは、重大な命令違反、

我々「初雪」乗員らも、その勝手な振る舞いに

「飛行機乗りは何をやっているんだ」と憤懣やるかたない思いであった。

*************************

 

この事案、戦争の帰趨が決定していたレイテ沖海戦の頃とは異なり、

1942年のことでしたから、

この“ラバウル零戦隊の反転”は、ある意味、

「栗田艦隊謎の反転」以上の重大事件かもしれません。

 

著者はそんなに多くの頁を割いてはおられませんが、

この件も、深井氏が今回初めて明らかにされたとのことです。

 

歴史に“If”を言い出すとキリがないのですが、

もし、あの時零戦隊がガ島にとどまっていたならば、

戦況は大きく変わっていた可能性があります。

私の想像ですが、これは当時、ラバウル司令部を

慢心・楽観気分が支配していた表れなのでしょう。

 

そういえば、1942年といえば、

零戦にとって“難敵”となったグラマンF6FF4Fの後継機)が

まだ実戦投入されていない時期だったかもしれません。

                             (つづく)

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