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2023年7月30日 (日)

魔女は眠らない、聖女は眠れない(35)~~~~~~~~~ 「戦艦『大和』反転の真相」深井俊之助氏(その1)

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Amazon 戦艦「大和」反転の真相

この本の副題は「海軍士官104歳が語る戦争」、

宝島新書より20187月の発行ですから、わりと新しい本です。

(単行本は2016年発行)

 

6月24日、プリゴジン氏の率いる軍事組織「ワグネル」が、

モスクワへの進軍を、「反転」ではなく、突然に中止しました。

もしも、ロシア国内で内乱が発生したならば、

それが、ウクライナ戦争の停戦の契機になるかも、

と勝手に想像していましたが、シナリオは別の方向に進んでいきました。

 

プリゴジン氏に何が起きたのか、

まだよく分からないのが現状ですが、

このたびのことで、

元軍国少年の私が思い出したことがあります。

 

それは本書の題名のとおり、

第二次世界大戦の「レイテ沖海戦」(1944年)における

「栗田艦隊 謎の反転」でした。

 

その前にそもそも、レイテ沖海戦とはなんぞや、

ということなので、簡単な説明を。

 

第二次大戦末期の194410月、フィリピンを奪回せんと攻め込んできた

連合軍の進攻を阻むために、

日本海軍が一大作戦を企図したのです。

その目的はレイテ島(ルソン島から見て南東部にあります)への

米軍上陸阻止。

 

しかし、なぜかレイテ湾を目前にした、

「大和」を旗艦とする栗田艦隊は、進入せずに反転してしまいます。

この事件が、今次大戦の最大の謎でした。

 

偶然、図書館の書架で見かけたのが本書。

まず、目を引いたのが表紙の戦艦「大和」の写真です。

これは、有名な写真で、

(といっても、「大和」の写真は数多く残っていません)

モノクロでは見慣れていましたが、

ここでは着色補正が施されています。

 

撮影月日は判明していて、19411020日、

高知県宿毛湾沖で、完成時に行われた公試運転中のもの。

最高速度は、27.46ノット、つまり50.9km/時を計測しました。

 

実は、従来の白黒写真では気づきませんでしたが、

煙突とマストの中間の下方にも、

副砲の砲身が見てとれます。

大和・武蔵の世界最大の、直径46cm主砲は有名ですが、

15.5cm副砲は、前後に各1基と、

写真のように左右にも各1基が配置されていました。

PC画面上で見えるかどうかは微妙)

 

しかし1944年、

ということは、レイテ沖海戦の直前に

航空機による攻撃に対抗する改装工事として、

左右の副砲は撤去され、対空兵器が増設されました。

ですから、(私の知る限りですが)

「大和・武蔵」の市販の模型キットは、

改装後の外観が採用されています。

 

…………………………

2019年のこと、

『アルキメデスの大戦』という映画が、公開されました。

大和型戦艦の建造をめぐってのストーリーですが、

劇中、艦の計画段階に、出てきた模型が、

(当然ながら)副砲を4基備えていまして、

あらためて“へぇー、これが最初のビジュアルなんだね”

と思ったものです。

 

この映画の原作は三田紀房氏の漫画だそうです。

そのオリジナルは存じませんが、

映画のほうは、“失敗作だな”というのが私の感想。

「数学で戦争を止めようとした男がいた」

という広告のコピーに惹かれて観たのですが、

現実に「大和」は完成してしまったし、

戦争も実際に起きてしまいました----

では、“なぜ、そうなったのか”

この点の掘り下げがなされていなかった、と思いました。

 

映画の骨格にも私は不満がいっぱいで、

やはり、普通にオープニングとエンディングのCG映像は

入れ替えたほうがよかったのではないでしょうか。

…………………………

話が脱線しましたが、

なぜ「大和」の副砲にこだわっているかといえば、

本書の著者の深井俊之助(ふかい・としのすけ氏は

レイテ沖海戦時、

「大和」の副砲長を務めておられたのです。       (つづく)

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