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2023年6月30日 (金)

魔女は眠らない、聖女は眠れない(34)~~~~~~~~~ 『十五歳の戦争』西村京太郎氏

Img_20230626_115021『十五歳の戦争』https://amzn.to/3PAf5Zs

 

2022年3月、ミステリー作家の西村京太郎氏が他界されました。

今回は、集英社新書シリーズから、

西村京太郎氏の『十五歳の戦争』を取り上げてみます。

この本の副題は「陸軍幼年学校『最後の生徒』」、

小説ではなく、氏の人生を綴ったもので、2017年の刊行。

氏は、1930年生ですから、

なるほど、このようなご経験をお持ちだったのですね。

表紙カバーの見返しに書かれている文から。

 

~~~~~~~~~

昭和2041日、少年:西村京太郎は、

エリート将校養成機関「東京陸軍幼年学校」に入学した。

8月15日の敗戦までの、短くも濃密な四か月半。

「天皇の軍隊」の実像に戸惑い、同級生の遺体を燃やしながら

死生観を培い、「本土決戦で楯となれ」という命令に覚悟を決めた―

~~~~~~~~~

 

戦中~戦後の時代、

作家としてご成功されるまでの自叙伝であります。

そして、昭和史に興味を持つ私は、

やはり、「あの戦争」についての、西村氏の想いに注目してみました。

 

氏は、本書の中で、

「なぜ、日本はあのような無謀な戦争を始めてしまったのか」

という疑問には正面から答えられてはいません。

 

ただし、「日本人が戦争(現代戦)に向かない理由」として、

7つの項目を挙げておられました。

その内、私が、特に気になった4つの事項を紹介します。

~~~~~~~~~

1.   国内戦と国際戦の違いがわからない。

4. 日本人は、権力に弱く、戦争を叫ぶ権力者の声に従ってしまう。

6. 日本人の場合、社会の前に世間があって、その世間に屈して、社会的行動を取れない。

7. 日本人が、一番恐れるのは「臆病者」とか「卑怯者」といわれることである。

   だからそのようにいわれるのを恐れて、戦争に賛成した。

~~~~~~~~~

 

  1. は、「国際感覚」のことだろうと考えました。

戦後80年になろうとしている現在、このことに関しては、

まだまだ遅れていると思っていますし、また、

それは「日本人の英語力」についても関連することであります。

魔女は眠らない、聖女は眠れない(30)

 

6. 最も注目したのが、これです。「社会」と「世間」。

この二つの語の定義付けから始めないと、

議論が進みませんが、著者による説明はありません。

そこで、私たち読者が考えないといけないのですが。

 

「社会」と「世間」-----

私的には、「理想」と「現実」、あるいは、

「大情況」と「小情況」、「理知」と「感情」ですとか、

そんな風な理解をしているのですけどね…

 

自分なりの例を挙げますと、

最近、話題のジャニーズ事務所の性加害事件。

でも、こんなことは、既に1988年、

男性アイドルグループ、フォーリーブスの一員だった、

北公次氏が公表しておられた事で、

“いまさら”の感のほうが強いのですが、

この事案に関して、

ジャニーズ事務所の現役タレントの

会見とか証言は無いですよね。……

 

西村氏のおっしゃる「社会的行動」とは、そういうことではないか。

そんなことを想像しつつ、読んでいました。

ジャニーズ事務所に対し、発言を控えるタレント、

なかなか報道さえもしなかった国内のメディア、

それを思うと、

日本が戦争へと突き進んでいった「あの時代」との

相似性が見えてくるのではないか。

 

ロシアがウクライナ侵略を開始して、

1年4か月が経ちました。

無理からぬことでもありますが、今まさに、我が国は

“戦時ムード”が立ち込めているように思えます。

 

岸田首相は、もう少しマトモな人物だと思っていましたが、

安倍・菅より酷い、ということがはっきりしました。

 

 

あとひとつ、西村京太郎氏は、

「日本は戦争の中立国になるべし」という

ユニークな論を綴っておられます。

当然ですが、「中立」というからには、

「戦争はしない」ということに他なりません。

 

~~~~~~~~~

戦争に向かない日本こそ、

その役をやれると、私は確信する。

アジアの、或いは世界のスイスになるのだ

~~~~~~~~~

 

上記のように、氏は第二次世界大戦のスイスを

例に示しておられます。

スイスは、ナチス・ドイツと連合国側を天秤にかけつつ、

外交を進めて自国の安全を保った、と書いておられました。

 

言い換えると、“二股膏薬的外交”の成果であり、

スイスが戦火に巻き込まれなかった因は、

決して、国民皆兵制の軍事力ではなかった、というのです。

(詳細は本書をお読みください)

たしかに、こういうところに

日本の進むべき道のヒントがありそうですね。

 

広島でのG7サミットを思い出してください。

現在の核兵器均衡の状況を追認しながら、

我が国の立場は西欧諸国の側にベッタリの方向を一層明確にし、

あらためて中国・ロシアとの対峙姿勢を打ち出しました。

 

が、日本は欧米とは異なり、

中露とは文字通りの、国境を接する隣国なのです。

これは、危険な“賭け”のような方針であると感じています。

その危険が、現実にならなければよいのですが…

 

被爆地:広島を、その「舞台背景」として

“利用”しただけの今回のサミットは、

見るべきものが全く乏しい“から騒ぎ”でした。

(勿論、私はロシアのウクライナ侵略にも、

習主席が進めている中華帝国主義にも反対です)

 

西村京太郎氏の提唱された

「日本は戦争の中立国になれ」は、

至極うなずける議論ですが…

 

安倍前首相はプーチン大統領と27回もの会談を重ねたのに、

また、「日本は、ミャンマーとは独自のパイプがある」とか、

言われていたにもかかわらず、外交成果は「ゼロ」でした。

課題は、日本の外交力・国際感覚だと思います。

 

たしかに「中立国」なんて

“絵に描いた餅”のようなハナシ、かもしれませんが、

岸田首相のように「米国追随一択」では、

大きな過ちに日本国民が巻き込まれかねません。

西村京太郎氏のような視点を、常に忘れずにいることが肝要です。

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