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2019年4月18日 (木)

忘れようとして(30)~沖田総司と「燃えよ剣」<2>。

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(前回からのつづきです)

 

さて、司馬遼太郎の「燃えよ剣」です。 

 

彼はこの小説、及び「新選組血風録」に登場する沖田総司を、

前回ご紹介した、

森 満喜子が挙げた「3条件」を踏まえつつ、描いています。

以下に再掲しますね。

 

  1. 天才的な剣の使い手であったこと
  2. 不治の病(結核)に侵されていたこと
  3. にもかかわらず、非常に明るい性格であったこと

 

 これらを“司馬遼太郎流”に統括すると、

ふしぎな若者」ということになるのでしょう。

テーマの「燃えよ剣」ではないのですが、氏の別の小説から引用します。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

いま一ついえるこの若者のふしぎさは、剣術練磨者にありがちな

偏執者的性格をいささかももっていないことだった。

「総司は生れたままのような男だ」

と、副長土方歳三がよくいった。

~~~~~~~~~司馬遼太郎「新選組血風録」『菊一文字』より

 

 

その泣く子も黙る副長:土方歳三ですが、「燃えよ剣」においては、

沖田総司にだけは、“好き放題”に言われているのです。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「新選組も、同じですな」

沖田はくっくっ笑って、

「土方さんなど、狂人の親玉だ」

「なにを云やがる」

こわい顔をしてみせた。

が、沖田は、新選組の隊中で鬼神のように怖れられている

この歳三が、ちっともこわくない。

~~~~~~~~~~~司馬遼太郎「燃えよ剣」(上)『池田屋』より

 

 

この屈託のなさと、剣を手にした時の強さとの“落差”に

惹きつけられますね。

当世流行中の“ギャップ萌え”の原点はここにあります(笑)。

 

 

この「ふしぎな若者」という雰囲気を、

役の上で表現し切るのは、なかなか困難なことでしょうが、

私の中の沖田総司”といえば、

やはり島田順司なのですね…。

 

前回のブログに記しましたように、彼は、

1965年の「新選組血風録」、

1970年の「燃えよ剣」に沖田役で出演していました。

加えて、オールド・ファンならば、“もう1本の映画”の存在を

ご存知のはず。

 

1967年4月から9月まで26回にわたり放送された、

「俺は用心棒」です。

頃は幕末、栗塚旭が主役の素浪人を演じ、

島田順司が、沖田総司に扮しましたが、彼はあくまで“脇役”でした。

つまりWikipediaを見ますと、出演回は、全体の半分くらいにとどまります。

このTVも好んで見ていましたが、島田順司の現れるシーンには、

いつも、“総司のテーマ”といった感じの爽やかな音楽が

流れていた記憶があります。

 

ともあれ、島田順司は、TV映画の3作品、

通算すれば、1年半(!)にわたり沖田総司役を務め上げたことになるので、

私のように「沖田総司=島田順司」といったイメージをお持ちの方は、

多いのではないでしょうか。

 

 

そんな私の“映像の沖田総司“の思い出としては、

島田順司が、ニコニコと笑いながら、

お寺の石段(階段?)に腰を掛け、

邪魔になる刀は、帯から抜いて、

肩にもたれさせるように、立てかけています。

そうして、子供たちが遊んでいるのを眺めている…

着物は紺の「かすり」だが、あの派手な新選組の羽織は着ていない…

 

 

以上のような感じかな(笑)。

 

 

子供は好きだった、ということも間違いのないところです。

現実に沖田総司と遊んだことのある、古老の言葉が残っていますね。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

この沖田が近所の子守や、私たちのような子供を相手に、

往来で鬼ごっこをやったり、壬生寺の境内を駆け廻ったりして遊びましたが、

そんなところへ井上源三郎(筆者注:六番隊組長)というのがやって来ると、

「井上さんまた稽古ですか」

という。井上は、

「そう知っているなら黙っていてもやって来たらよかりそうなもんだ」

と、いやな顔をしたものです。

~~~~~~~子母澤寛「新選組遺聞」八木為三郎老人壬生ばなしより

 

 

確かに、“立ち回り”のシーンの記憶はあまり残っていないのです。

そういえば森 満喜子も、

「島田順司は、沖田総司役をほぼ完璧に演じているが、

“剣の天才”という点だけはどうか」

といったニュアンスのことを言ってらしたような…。(ウロ覚えなので)

 

但し、このことには、俳優個々の技量もさることながら、

沖田総司の殺陣の場面に関しては、独自の工夫を加える、

ということも必要なのでしょう。

 

 

「沖田総司のキャスティングは難し過ぎる」

と、私は書きましたが、その“ポイント”は、

ふしぎな若者

というキーワードに秘められているように思えます。 (つづく)

 

                                                                  (文中敬称略)

 

*子母澤寛「新選組遺聞」は、中公文庫版から、

*司馬遼太郎「燃えよ剣」は、新潮文庫版、

「新選組血風録」は角川文庫版から、それぞれ引用しました。

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