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2013年4月30日 (火)

田端義夫さんと東海林太郎さん。

§大歌手:田端義夫さんへ。長い間、有り難うございました。

GWもスタートしましたが、みなさん、いかがお過ごしでしょうか。

 

さて、ニュースなどでご存じのとおり、4/25に歌手:田端義夫さんが亡くなられました。

拙ブログでは、男性歌手は滅多に取り上げていませんでしたが、

実は、田端義夫さんは、私も、“お気に入り”の歌手でした…

 

と、申しましても、最初からそうだったわけでなく―

つまり、私にしてみれば、田端さんの、

あの細かい「ビブラート」が、どうも“耳障り”だったのですね。

 

でも、いつの頃からか、それもひとつの”長所”のように感じられてきました。

私個人の”分析”ですが、あの「ビブラート」は、流行歌に特有の、

「泣き節」(その”代表格”が島倉千代子さんですね)の一種の”変異型”

であろうと思っているのです。

(そう、この国では、男性が人前で泣くことは、良しとはされません)

あるいは、「浪花節」に見られる手法を、流行歌に取り入れた結果かもしれない

 

私的に申すところの、この「浪花節」的感覚、また「泣き節」ですが、

田端義夫さんと同様に、このような表現手段を持つ歌手としては、

私は、他に、森進一さん、前川清さんを挙げます。

このお二人とも(田端さんも、でしょうが)、

デビュー以来、一貫してその歌唱スタイルを維持されていることは、

本当に素晴らしいことであると思っています。

(余談ですが、現在の「泣き節」の女性歌手の“代表”といえば

一青窈さん、でしょうか)

 

田端義夫さん御本人の真意をそっちのけで、

素人の”邪推”とは、申し訳ないのですが、

現実に、戦前〜戦後にかけての昭和の時代の日本を、

田端義夫さんは、歌で支え続けてこられました。

”田端さんがこれだけ永く支持されてきたのは、日本人の心を打つ「何か」が

あるはずだ”

そう考えた結果、現在は、そんな感想を抱いております。

 

ヒット曲はあまりにも多いのですが、

たとえば、「大利根月夜」(1939年)。

~~~~~~~

作詞:藤田まさと、作曲:長津義司 歌:田端義夫

 

あれを御覧と 指差すかたに

利根の流れを ながれ月

昔笑うて 眺めた月も

今日は今日は 涙の顔で見る

 

愚痴じゃなけれど 世が世であれば

殿の招きの 月見酒

男平手と もてはやされて

今じゃ今じゃ 浮世を三度笠

~~~~~~~(以下略)

時は、江戸時代。この歌の主人公、平手 造酒(ひらて みき)は、

剣の名手ですが、やがて“悲劇のヒーロー”となっていきます。

“判官びいき”という言葉があるように、

多くの日本人の共感を覚える対象ではあります。

田端義夫さん、どうか、ごゆっくりお休みください―

さて、

田端義夫さん、といえばあの人のことも---

 

 

 

§もうひとりの大歌手:東海林太郎さんのこと。

ところで、音楽ファンの皆様には、既にご存知のとおり、

4/28に、松任谷由実さんが、紫綬褒章を受章されたとの報がありましたね。

誰一人、異論を挟む余地のないご受章であり、まずは、お祝い申し上げます。

さて、紫綬褒章は、

学問及びスポーツ・芸術等のジャンルの方々に贈られる褒章ですが、

歌手というジャンルで、紫綬褒章を初めて受章された方といえば…

私の記憶では、東海林太郎(しょうじ・たろう)さん。

今、調べると1965年のことでした。

 

この東海林太郎さんも、私、最初は、田端義夫さんと同じく、

あまり好きではなかったのです。

なぜかと申しますと、あまりにも淡々とした歌唱で、

感情的表現に乏しい、と思っていたからですね。

 

ただ、やがて、このように感情を抑制した方が、

逆説的に表現力に富む場合もある、と考えるようになり、

歌詞・楽譜を、あくまで正確に歌唱されている東海林さんに、

共感を覚えるようになりました。

 

ご紹介する、この「國境の町」の2番などは、

そういったことが実感できるのではないでしょうか。

1934年発売、まさに戦前―これもまた、名曲中の名曲であります。

~~~~~~~~

作詞:大木惇夫、作曲:阿部武雄、歌:東海林太郎

 

1 橇(そり)の鈴さえ 寂しく響く

  雪の曠野(こうや)よ 町の灯よ

  一つ山越しゃ 他国の星が

  凍りつくよな 国境(くにざかい)

2 故郷はなれて はるばる千里

  なんで想いが 届こうぞ

  遠きあの空 つくづく眺め

  男泣きする 宵もある

~~~~~~~~(3.4番略)

「国境」とは言うまでも無く、旧:満州と旧:ソ連との国境を指します。

いつの時代でも、人々の祖国・故郷を想う気持は、

変わりが無いものなのですね…。

マイクの前で歌われる東海林さんは、

常に直立不動の、凛とした姿勢でいらっしゃいました。

 

余談ですが、十代の歌手が大挙してデビューしていた頃、

(確か、“花の中三トリオ”の頃だったでしょうか)

“このような音楽界を、どう思われますか”との質問に、

東海林太郎さん、

「みなさん、天才なのでしょうね」、とのお答えだったような…

そんなことを、いま、思い出しました。

 

 

§昭和の終りをいまさらながら実感するのですが…

確かに、“昭和は遠くなりにけり”―と痛感するのですが、

平成の現在は、“何かが狂っている”と考えざるを得ないのです。

 

田端義夫さんのような、叙情的感性、

つまり、”やさしさ・思いやり”ですね、また、

その対極にある、東海林太郎さんの“凛とした”立ち居・振る舞い、

いずれも、今の日本社会は失っているのではないでしょうか…

 

“コジツケかよ”っておっしゃるかもしれませんが、

「フクシマ」に目を向けますと、そんな想いがしてなりません。

 

原発の爆発直後、政府は「SPEEDI」の結果を発表せず、

市民の被曝を防ぐどころか、むしろ、その逆の暴挙に及んだ。

国民の生命・健康を守るのが、民主主義というものではないか。

 

11ミリシーベルト」というこれまでの我が国の放射能の被曝基準を、

いとも簡単に変更してしまう。

医者にも、科学者にも良識、というか、“恥じる”という感覚はないのだろうか。

最低限、子供たちだけは、守っていかねばならぬ。

 

「ただちに人体に影響はない」と言い続けた政治家、

それを、無批判、かつ無責任に流し続けたマスコミ。

 

人類がかって経験したことのない大事故を起こしながら、

政治家も、東電も、いまだ誰ひとり、責任をとっていない。

 

そして、現安倍内閣は、原発輸出と、国内では再稼働へ一直線。

その国会にしても、「憲法違反の選挙」の結果の“議員集団”ではないか。

 

総じて、今の日本は、法治国家とは呼べないし、

また、民主主義たるものも存在しない。

 

~~~~~~~~~

なんだか、情けない結論になってしまいました。

音楽の話に戻しましょう。

毎度、おなじみのYou Tube

探してみたら、じき、見つかりますが、一応、URLを貼っておきます。

田端義夫さん:「大利根月夜」

田端義夫 大利根月夜 - YouTube

東海林太郎さん:「国境の町」

國境の町(東海林太郎) 80rpm - YouTube

“古臭いナー”と言うなかれ、

今の音楽界の隆盛は、こういった先人の方々の

ご労苦があったればこそ、なのですから。    

                       (乱文長文妄言多謝)(おしまい)

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コメント

はじめまして。

東海林先生とバタヤンの事が書いてあったので、引き込まれて一気に読んでしまいました。
ブログ中で取り上げられた《大利根月夜》は、カラオケでも歌います。
ただ、正直言ってバタヤンに対する評価はあまり高くなかったんです。
でも、ここ最近になってあの独特の歌唱に哀愁を感じるようになりました。
訃報を受け、ついにこの日が来たか、という印象です。
寂しいですね。

東海林先生は、中学生の時に大ファンになりまして、今では尊敬するようになりました。

>“古臭いナー”と言うなかれ、
今の音楽界の隆盛は、こういった先人の方々のご労苦があったればこそ、なのですから。

全く同感ですね。
過去を大切にしないと、未来も危うくなると思います。

良き記事に出会えて、嬉しかったです。 

投稿: ひさ | 2013年5月 8日 (水) 04時38分

ひささんへ  こんばんは。はじめまして。

>「大利根月夜」は、カラオケでも歌います
いい歌ですものね。「愚痴じゃなけれど 世が世であれば」の歌詞は、私のようなサラリーマンの心情を代弁してるようで。(苦笑)

>寂しいですね
私もそのような思いでいっぱいです。田端さんには、心より、「有り難うございました」と申し上げます。

>東海林先生は、中学のときに大ファンになり
あの凛として端正な歌唱は、ある意味、田端さんのそれとは、対極にあるようにも見えます。
ただ、東海林さんには、民族としての誇り・品格を、また、田端さんには、日本人ならではの郷愁・哀感が感じられるのではないでしょうか。
ずっと、歌い継いでいきたいものが、お二人には有りますよね。

>良き記事に出会えて、嬉しかったです
そのお言葉、本当に私も有り難く拝読いたしました。
最後に、ご訪問、ならびにコメントをいただきましたことに、御礼申し上げます。

投稿: てんけい | 2013年5月 8日 (水) 19時47分

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