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2010年10月11日 (月)

佐々木秀実さんライブ。~シャンソン界のヌーベル・バーグ

佐々木秀実さんのライブの録音を、

 

偶然、ラジオで聴いたのは、2ヶ月ほど前のことか、

 

伸びやかなその歌声に、心打たれた、

 

といっても、初めてではないはず、昨年にも一度、

 

TV「ミューズの晩餐」で拝見している。

 

ミューズの晩餐 テレビ東京

 

「シャンソン歌手、佐々木秀実」…

 

“また、今度…”と思いつつ、

 

遂に本田美奈子.さんのステージを、観られなかった自分としては、即断した。

 

 

 

“この歌手、ライブへ行くべし”

 

 

 

当日は、平日ではあるが、事務所を逃げるが如く退出に成功、一目散に会場へ、

 

「神戸・チキンジョージ」は、関西のみならず、全国のミュージシャンの憧れの地、

 

老舗中の老舗のライブハウス、ただし、自分は初めて。

 

 

 

“阪神大震災で被災したと聞いた、前はこんな建物ではなかったよなー”

 

と、感慨にふけりつつ中に入る。

 

 

 

当然のことながらその狭いこと、大ホールと違い、演者との距離は極めて近い。

 

“これは楽しみ”、と開演を待つ、

 

一方、まわりを見れば、

 

客層は、50歳アップ、とおぼしき女性が大半、男性はごくわずか。

 

こんなに、男女の比率の差が大きく、

 

また、年齢層が偏ったライブは、まさに“初体験”であるが、

 

周りを囲む相手が相手なれば、さして、緊張もせず(笑)。

 

 

 

そういえば、自分は2-3年前位に、知人に頼まれ、

 

シャンソンのオムニバス・カセットテープ(←「カセット」です)を作ったことがある、

 

越路吹雪アダモイブ・モンタンエディット・ピアフらの、

 

そうそうたるメンバーに加え、知らぬ顔をして、本田美奈子.の曲をチャッカリと

 

忍び込ませたのは,言うまでもない(笑)。

 

 

 

当夜は、そういった有名どころのナンバーは少なく、自分には“おはつ”の歌が

 

多かったが、会場につめかけたシャンソンファンにはお馴染みであったろう、

 

オープニングは、『時は過ぎていく』、そして『枯葉』、

 

うまい。見事な歌声に圧倒。

 

 

 

続いて『アコーディオン弾き』。

 

「歌う」というより、一幕の劇を観る思いがする。

 

伴奏は、1台のピアノのみ、黒い背景のステージに立つ彼女は、

 

真っ黒のロングドレスに身を包み、

 

ときに愛の幸福を語り、ときに微笑み、

 

そしてまた、魂の慟哭を泣き叫ぶように歌い上げる。

 

 

 

そこにあるのは、世の無常と、人生の悲しみ、

 

小道具・背景は一切無く、黒に統一されたステージは、あたかも、能舞台、

 

あるときは、街の広場、また酒場にもなり、あるいは、女の部屋にも見える。

 

そして主人公は、過去と現在の間を自由自在に行き来する、

 

その、表現力の鮮やかさに感動するのみ。

 

 

 

後方より、一人の女性が、

 

「ブラボー!」

 

と叫ぶ、確かにみごとなvocalではある、しかし、

 

戦争で死別した恋人を想い、泣き続けるヒロインに、

 

“ブラボー”もあるものか、この悲惨さ、残酷さには、涙を拭う方が先、

 

とはいえ、これは歌の中の世界、

 

「事実は小説より奇なり」というが、正にそのとおり、

 

現実は歌よりも、もっと悲惨で、もっと残酷なものなのである。

 

 

 

 

 

さて、色々な曲を披露されたが、どうしても、生で聴きたかった歌があった。

 

河島英五さんの作詞・作曲、『生きてりゃいいさ』。

 

生きてりゃいいさ

 

~~~~~~~

 

「生きてりゃいいさ」(部分)  河島英五 詞・曲

 

生きてりゃいいさ 生きてりゃいいさ

 

喜びも悲しみも 立ち止まりはしない

 

~~~~~~~

 

どうしても、本田美奈子.を思い出してしまう自分だが、

 

いい歌だ、ときに囁くような、ときに凛とした彼女の声が、心に深く浸みこんでいく、

 

 

 

締めは、またまたミュージカルの一幕のような、

 

ボンボヤージュ』。

 

 

 

 

 

“歌は語るように、台詞は歌うように”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

といわれるが、

 

「一人芝居」のような長丁場のセリフから、

 

徐々に歌のクライマックスへと、駆け登っていく、お見事。

 

長い苦労の末、ようやく掴んだ幸せも束の間、

 

夫を奪った若い女への嫉妬、自分を捨てた夫への断ち切れぬ未練が、

 

劇的に歌われる。

 

 

 

アンコールは、もう、これしかなかろう、『愛の讃歌』。

 

まるで、日本の演歌を思わせるような、

 

悲劇性の強いシャンソンが続いた今夜、

 

エディット・ピアフの名曲で締めくくられたのは、せめてもの救いか、

 

 

 

 

 

彼女の歌に酔いしれ、ドリンクに酔った気分で、表に出る、

 

浮世離れした空間を後にすれば、

 

九月もあと1日を残すのみ、

 

吹く風は冷たく、夜はとっぷりと暮れ、

 

漆黒の闇に呑まれていく我が身なれば、現実世界も、また桎梏。

 

                          (文中一部敬称略)

 

--------------  (この項、つづく)

 



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アーティスト:佐々木秀実
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