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2007年5月20日 (日)

「ペンタックス」の技術水準は、トップクラスです。

今回は、雑談、です。要するに、「どーでもいい話」。

最近、TV、新聞等で、「ペンタックス」という会社の、「資本提携」とか、「TOB」だとか、本社売却とか、様々な記事をご覧になった方も多いと思います。

結果として、「HOYA」の子会社化、というところに、落ち着いたようですね。

 

 全く、ご存知ない方には、“「ペンタックス」って、そんな会社なの?”と、いわゆる“マイナス気味”のイメージを、持たれる方が多いかもしれません。

と思って、私の知るところを、少しだけ書いてみます。

 実は、「ペンタックス」と言う会社の技術力は、世界でもトップレベルにあったのです。

 まあ、私にしてみれば“名誉回復“ってゆーカンジです(こういう言い方もマズいかな?関係者からは、「今でも、一流じゃ!」という声も聞こえてきそうで…)。

といっても、私には、一文の得にもなりませんが(苦笑)。

 残念ながら、当時の資料等は、震災で全く残っていません。で、あやふやな私の記憶を頼りに、ネット検索で確かめつつ、ざっと、書いてみます。

カメラ、また、写真とかに、あまりご興味の無い方のために、やや専門的なことは、「(注)」マークを付し、「コメント」の項に記しました。よろしければ、「コメント」をクリックして、お読みください。

 「ペンタックス」はもともと「旭光学工業」という社名のカメラメーカーでした。現在の社名は、製造していたカメラの名称「ペンタックス」が、由来です。

1. 1954

 「アサヒフレックス」を発表。これが、我が国における、35mmカメラ(注1)の第一号でした。(世界でいえば、やはり西独の「ライカ」が最初でしょうか)

2.1957年       

一眼レフ(注2)スタイルの、「アサヒペンタックス」を発表。これが、後年にわたり、ずっとカメラのブランド、また、現在の社名の由来となります。

「今後の35mmカメラの主流は、必ず『一眼レフ』になる」

そう、確信した旭光学は、全精力を一眼レフカメラの開発に注ぎます。

(現在でも、デジタルカメラの高級機種は、「一眼レフスタイル」です。

 ということは、同社の予想は、まさに「的中」したわけですね)

3.1964年       

「アサヒペンタックスSP」を発表、全世界の注目を集めます。

なぜなら、世界で初めて、「TTL」測光システム(注3)を採用したカメラだったからです。

これこそ、まさに、同社の技術力が、当時「世界一」であったことを、示すものです。

4.1971

「アサヒペンタックスES」を発表。

下記の「SMCレンズ」と、同時に「フォトキナ」(世界最大のカメラ博覧会です)で発表された、と記憶しています。「ES」は、世界初の「絞り優先自動露光・電子シャッター搭載」(注4)一眼レフカメラでした。

5.1971

SMCタクマー」レンズを発表。(注5)

われわれのような素人には、新型機種の「ES」が話題になりましたが、世界中の技術者間では、「SMCレンズ」の方が注目を集めたようです。

 上記以外にも、例えば…

システムカメラ「ペンタックスLX」では、ボディーの防滴構造を実現(注6)、また、

中判カメラ(注7)の分野でも、「ペンタックス6×7」、「同M645」の開発。これは、両方とも世界初の、一眼レフの構造を持つ中判カメラです。

まさに、「ペンタックス」は、日本における、「一眼レフカメラのパイオニア」でした。

「ペンタックス」という企業の技術水準の高さを示す事例は、もっと他にもあるとは思いますが、まあ、このへんで。

さて、……

「ペンタックス」が脚光を浴びたのは、「SP」のひとつ前の機種、「SV」ではなかったか、と思います。その人気の秘密は「小型・軽量」でした。

一眼レフは、プリズムを組み込み、さらに、そのプリズムに、光を反射させるため、内部に「鏡」を取り付ける必要が生じます。つまり、その構造上、どうしても大きく、重くなるわけです。「ペンタックス」は当時としては、おそらく、一眼レフの中では、最も小さく、また、軽い機種でした。小柄な日本人の手には、ちょうどよかったのでしょうね。

精巧なメカニズムを、損なうことなく、他のライバル各社の機種より、ボディーの厚さを1mmでも薄く、また、10gでも軽くするために、技術陣の費やした努力は、われわれの想像を絶するものがあったことでしょう。

「小型・軽量」を受け継ぎつつ、「TTL」を組み込んだ「SP」は、「ペンタックス」の人気を決定的にして、また、爆発的にヒットしました。アマチュアはもとより、プロカメラマンにも好評でした。「SP」は後年にも、「SPF」「SPⅡ」と改良、また、マイナーチェンジされて登場しています。

「SP」は、その「カメラ」自体の優秀性はもちろんのこと、そのデザインも、洗練された、優雅な美しいものでした。(注8)通産省(当時)の「グッド・デザイン賞」を受賞した、と思います。もしも、カタログが残っていれば、皆さんにお見せできるのですが、震災でなくなったのが、残念。(まあ、オークションのサイトで見られますが。いい角度の写真がみつかりませんでしたので)

と、ここまで書いてきましたが、ここで、BIG NWESです。

「カメラグランプリにペンタックスのデジタル一眼レフ」

「カメラ記者クラブ」が選考する、06年度に国内で発売されたスチルカメラから最も優れた1機種を表彰するカメラグランプリに、ペンタックスのデジタル一眼レフ「K10D」が選ばれました。高度な手ぶれ補正機能、ほこりや水滴を防ぐ構造、独創的な撮影モードを搭載しながら、比較的安価な価格を実現した点などが評価されています。同グランプリは今年で24回目。カメラ専門誌の代表者や写真家らが159機種の中から選びました。 

   (

5月18日)

ペンタックス」の「経営陣」のことは、さておき、

技術者諸氏の素晴らしさは、もう、私が、くどくど申し上げる要もないようですね。

やはり、

「ペンタックス」の技術力は、過去も、現在も、トップレベルです。

このような立派な技術陣のためにも、また、全世界中のユーザーのためにも、これからもずっと、「ペンタックスカメラ」の製造、開発は続けていってほしいものです。

*(注)1~8についての、簡単な説明は、この記事に対する「コメント」をご覧下さい。

と、いうわけで、今回の「どーでもいい雑談」は「おしまい」にします。

(「プロジェクトX」みたいにはいかないか。やっぱし)<爆>

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コメント

さて、本文でお約束した、「ヘタな解説」です。

(注1)
「35mmカメラ」とは、とは、ライカ判フィルム、いわゆる「36枚撮りフィルム」を使うカメラのことです。デジタルカメラ時代の今でさえ、「写真のフィルム」といえば、この規格が最もポピュラーですね。

(注2)
「アサヒフレックス」では、お辞儀するように、頭を下げて、上から覗きこむスタイルで、カメラを構えました。これでは左右が逆に見えます。動く対象物を撮影する際は、不便ですね。
そこで、プリズムを付けることにより、左右が正しく見え、かつ、目の位置で、カメラ
を構えることが、出来るようになりました。

この「プリズム」を組み込んだカメラのことを「一眼レフ」といいます。この、「一眼レフ」という構造は、現在においても、カメラの“理想的”な形式、といっても差し支えないでしょう。

(注3)
「TTL」とは、「Through The Lens」(=スルー・ザ・レンズ)のことで、レンズを通して、明るさ・暗さ、つまり光の強弱を測ります。結局、フィルム面に来る光の量を測るわけですから、正確なこと、このうえないわけですね。この技術は、もちろん、現在のデジタル一眼レフにも、使われています。
「TTL式カメラ」の市販機の第一号は、他社(日本の「東京光学」です。現在では、もうカメラの製造からは撤退しています)に譲りましたが、この「SP」モデルは、国内外で大ヒット商品になりました。

(注4)
「絞り優先自動露光・電子シャッター搭載」一眼レフカメラ----なんとも長ったらしい“看板”なのですが、簡単に言えば、----

「電子シャッター」とは、従来、バネ等の機械仕掛けで、シャッターをコントロールしていましたが、それを電子回路で制御しよう、というものです。.レンズ側に付いている「絞り」(レンズを通過する光量を調節する機構)を先に設定すれば、あと、その場の明るさに応じて、電子回路とマグネットが、シャッターを無段階に動かしますから、「ボタン押すだけ、あと、カメラまかせ」なんてことが、可能になりました。

(注5)
  「SMC」とは「Super Multi Coating」(=スーパー・マルチ・コーティング)の略。
レンズの表面に、最大7層におよんで、極めて薄い膜を塗布する技術のことです。
この「多層膜」にすること自体の優秀性は、“理論的には”、認められていました。
しかし、その技術と商用化が、難題だったようです。この「SMCレンズ」の実現によ
り、光の透過率も向上し、色彩の再現性も、大いに改善されました。
長所は、まだ、他にもあったハズですが。

  私のような素人には、わかりづらいのですが、…
“レンズの表面の膜を多くしたら、逆に、光をよく通す”なんて、面白い話ですね。

なお、「タクマー」は、旭光学工業(当時)の製造していたレンズの、ブランド名です。
プロ・アマ問わず、人気のあった非常に優秀なレンズでした。
名前の由来は、「切磋琢磨」(今では“死語”?)という言葉から来ています。
私は、この「タクマー」という名称に、非常に愛着があるのですけどね。…
後に、社名と同様、レンズ名も、「ペンタックスレンズ」に、変わってしまいました。

(注6)
「揚げ足取り」ですが---レンズにも防滴構造がなされないと、意味がないのですが。

(注7)
 「中判カメラ」とは、35mmフィルムより、もっと大きいフィルム(面積比にして約6倍)
を使う、大型のカメラのことです。
写真の拡大、印刷にはずっと有利なので、要するに、「プロ用」ですね。
 
(注8)
ここで、皮肉な見方をすれば、私はこの「ペンタックスSP」と旧海軍の「零式艦上戦闘機」にイメージを重ねることがあります。「零式戦闘機」(これも、数種類の改良機種が量産されました)が、あまりにも優秀だったので、かえって、その後の新型機の開発を、遅らせたという話を聞いたことがあるからです。

 それはそれとして、…つまり、「SP」が「歴史的名機」だった証し、ですね。

投稿: てんけい | 2007年5月20日 (日) 10時04分

旧旭光学(ペンタックス)の東京工場にお世話になっていた経緯があります。27歳で退社したのですが、その数十年後300人規模の希望退職をつのったり会社は大変だったと聞いております。

当時はみんな仲良く楽しく仕事していたのですが、ホーヤになって以降2年目にはバラバラに解体され、当時の仲間とは連絡が取れなくなってしまったと聞いています。

時代の流れとは言え残念でなりません。残ったのはペンタックスブランドだけです。

すみません。つい懐かしくてペンタックスを検索していてブログを見つけました。

投稿: 内田達也 | 2018年9月27日 (木) 16時59分

内田達也様へ
駄文にコメントをいただき、有難うございます。

>旧旭光学(ペンタックス)の東京工場にお世話になっていた経緯があります。
いやー…そうですか。
旭光学の御関係者の方から、コメントをいただけるとは、光栄です。

>時代の流れとは言え残念でなりません。
本文には記しておりませんが、私もペンタックスユーザーでした。
(カメラ2台と、タクマーレンズが5本)
ですから、おっしゃるように、私も同じ思いがしております。

往時を知る者としては、とても信じられないほどの現状なのですが。
技術も、市場も、何もかもが一変してしまったのですね。
会社がなんとか存続出来るよう、
経営陣にも、方策はなかったのでしょうか…

現在のペンタックスカメラについては、全く存じませんのですが、
名機「SP」を作り上げ、また、
スクリューマウントのままで開放測光が可能、
といった“離れワザ”を実現した、旭光学の“技術者魂”は、
きっと、今もどこかに生きているのでしょう。

投稿: てんけい | 2018年9月27日 (木) 21時09分

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